脱腸と鼠径ヘルニアは同じなの?
「脱腸」は通称であり、「鼠径ヘルニア」が正式な名前です。
鼠径ヘルニアは、腹壁の筋膜が弛緩して穴ができ、そこから腸が飛び出す疾患であり、病状を平易に表現するために、通称は「脱腸」と言われています。
特に40代以上の中高年の方々にとっては、「脱腸」という名称の方が身近に感じるかと思います。しかし、昨今の教育現場などでは「脱腸」という言葉が使用されることはなくなり、若年層の方には聞き馴染みのない言葉かもしれません。そのため、「押すと凹む下腹部の膨らみ」があっても、原因がご自身では分からず、何科を受診したらいいのかわからずお困りの方も多くいらっしゃいます。
医療現場では、「脱腸」よりも「鼠径ヘルニア」という言葉を使用することがほとんどです。また、「そけい」は複数の漢字がありますが、正式な病名として、日本ヘルニア学会では「鼠径」を使っています。なお、医療保険上の病名では「鼡径」を使用しています。
鼠径部ヘルニアになりやすい人
鼠径ヘルニアは、40歳以上(特に60歳前後)の男性が発症しやすいです。女性の患者様は男性よりも多くありませんが、20~40代の外鼠径ヘルニアがよく見られます。
以下に該当する方も、筋膜が衰えやすいため、お気を付けください。
- 前立腺肥大や便秘症の方
- 立ち仕事や、重たい物を持ち上げる仕事を頻繁にする方
- 咳を頻繁にする方
- タバコを吸う方
- 出産後もしくは多産の方
- 肥満の方
鼠径部ヘルニアの原因
鼠径ヘルニアは、加齢によって筋膜が衰退することによって起こると言われています。筋膜が衰退し、腹部の臓器が突出すると鼠径ヘルニアに繋がります。
手術なしでは自然治癒しませんので、外科や消化器外科に早急にご相談ください。
鼠径ヘルニアは放置せずに早めに治療しましょう
鼠径ヘルニアを治療するには手術が必要です。
鼠径ヘルニアは自然に治ることがなく、発症初期は日常生活に影響するような症状が起こらないこともよくあるため、治療が遅くなりがちです。
なお、重症化すると、ご自身で押して戻そうとしても戻らず、痛みが激しくなったり、腫れた部分が硬化したりする場合があります。これは「嵌頓」という状態であり、腸が圧迫されて血流が低下し、最悪のケースでは腸閉塞や腸壊死によって命を脅かす恐れもあります。
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