鼠径ヘルニア(脱腸)の手術は、入院・日帰りいずれでも可能です。 日帰り手術の方が、時間的・経済的な負担が少ないため、昨今は日帰り手術が行われることが増えています。
しかし、患者様の中には以下のように心配される方もいらっしゃいます。
「痛みはあるのか?安全性に問題はないのか?」
「手術後はすぐに家に帰れるのか?」
「入院して受ける手術との違いは何か?」
当院では、鼠径ヘルニア手術の様々な症例に対応しており、安全性が高い手術をご案内できます。また、手術前後のサポートも丁寧に実施します。
鼠経ヘルニアは日帰り手術がおすすめです
通常の鼠径ヘルニアであれば日帰り手術で問題なく治療することが可能です。特に、発症初期の痛みが乏しい状態であれば、極わずかな例外を除いて日帰り手術をご案内できます。
患者様の中には、「全身麻酔」「手術」という言葉から、とても大変な治療で入院しなければならないと考える方もいらっしゃると思います。
しかし、鼠径ヘルニアだけでなく、痔、子宮筋腫、白内障、腱鞘炎などの手術をはじめ、医療技術の発展によって「日帰り全身麻酔手術」は一般的なものになっていますので、ご安心頂ければと思います。
傷跡を極力残さないこだわりの手術法
当院では、傷口を最小限に留める手術を行えるように努めており、鼠径部切開法と比較して小さな傷口で術後の痛みも生じづらい腹腔鏡手術を実施することが多いです。
腹腔鏡手術は、医学的には「腹腔内到達法TAPP法」と呼ばれますが、腹部に5mmほどの穴を3箇所あけます。その穴から鉗子と腹腔鏡を入れて、内部のヘルニアをチェックし、脱出した腸と腹膜を内部に戻してから、メッシュを使ってヘルニアの穴を補強します。
手術の所要時間は30分~1時間程度で、腹腔内から観察することで、正確なヘルニア診断と十分なメッシュ被覆が可能なため、再発リスクが低いといったメリットもあります。
麻酔で痛みや不安を最小限に
全身麻酔によって痛みを制御することも大切です。
麻酔の量が少なくても手術中に目が覚めてしまう可能性があり、一方で過剰に使うと患者様の身体への負担が大きいため、麻酔の管理は高度な技術を要します。
当院では、麻酔科専門医が麻酔薬の種類や量を決めますので、ご安心頂ければと思います。
腹腔鏡手術では全身麻酔で人工呼吸を行います
全身麻酔は、麻酔が体内に残りづらく、早期に目覚める「全静脈麻酔」という方法で行います。術後スッキリ目が覚めるように麻酔を実施しますので、術後一定時間お休み頂ければ、患者様はご自身で歩いて帰ることが可能です。
手術までの流れ
当院の鼠径ヘルニア手術は、最短3回の受診で初診・検査・手術を行うことが可能です。術後の再診は、術後7日目に対面診察でお願いしております。なお、遠方の方やお忙しく来院が困難な方のためにオンライン診察の導入を検討中です。なるべく患者様に負担をかけず、安全性が高い手術を行いますので、一度ご相談ください。
初診・検査
問診票の記入をお願いいたします。
診察、問診:患部を確認しながら、立った状態と仰向けの状態で触診を行います。
治療・手術の相談と説明:当院で手術を行う場合は、手術日の予約をお取りします。
(手術を実施する場合)レントゲン、心電図、血液検査などの術前検査を実施します。
手術当日までの過ごし方や当日の進め方をご案内いたします。
手術日
当日午前0時以降は食事を控えてください。
また、ご来院の2時間前から水分補給もしないようにしてください。
ご来院後、受付を済ませてからお着替えをお願いいたします。
手術部位のマーキングを行います。
手術室の滞在時間は、1時間から2時間ほどです。
術後はリカバリースペースで1~2時間ほどお休み頂きます。
水分補給や、看護師が付き添った上でトイレに行ってください。
その後、鎮痛剤を飲んで頂きます。
帰宅後
日常生活や食事はいつも通りで構いません。
当日からシャワー浴も問題ありません。
なお、入浴は術後翌日からでお願いいたします。
体調次第ですが、翌日からお仕事も再開することが可能です。
腹部に力が入る動作やお仕事、激しい運動は、術後2週間はしないようにしてください。
術後再診
特段の症状が起こらなければ、術後7日目に再診していただきます。遠方の方やお忙しく来院できない方のためにオンライン診察の導入を検討中です。なお、術後問題があればいつでも対応可能です。お気軽にご相談ください。
日帰り手術に関するよくある質問
安心安全な鼠径ヘルニア(脱腸)の日帰り手術を受けて頂くために、下記でよくある質問について解説しています。
日帰り手術を行えないケース、痛みのコントロール、手術費用などについて記載しておりますので、参考にしてみてください。
日帰り手術を受けられない人はいますか?
診察によって、手術が非常に難しくかなりの多くの時間を要すると考えられる場合や、合併症や既往症がある場合などは、日帰り手術をご案内できないことがあります。その場合は、提携先の医療機関にお繋ぎします。
当院では、日帰り手術を行うために複数の安全ルールを設定しており、下記に該当する患者様には日帰り手術をご案内できません。
なお、最終的には医師の診察によって慎重に日帰り手術の適応を検討しますので、既往症がある場合もご案内できることがあります。分からないことがあれば、遠慮なくご相談ください。
- 血液疾患によって血液が固まりづらい方、深刻な貧血状態の方
- 深刻な糖尿病の方
- 呼吸器・心臓などの臓器で深刻な疾患がある方
- 人工透析を受けている方
- 喘息発作が頻繁に起こる方
- BMI30以上で肥満の方
- 免疫不全になっている方
- 肺動脈血栓、深部静脈血栓を患っている方
- 前立腺手術を受けたことがある方、下腹部開腹手術を受けたことがある方
- 深刻な肝不全・腎不全になっている方
- 入院による手術を受けたい方
- 手術当日に同伴者がいらっしゃらない方
当院では、患者様の状況を最優先に考え、日帰り手術を無理強いすることは決してありませんので、ご安心頂ければと思います。
日帰り手術の費用は、入院する場合よりも安く済みますか?
基本的には、日帰り手術の方が費用の負担が軽いです。3割負担の方で○○円、1割負担の方で○○円となります(一般的な所得の方が高額療養費制度を使った場合の金額です)。
入院の場合、入院費用や入院中の食事費用が発生するため、日帰り手術よりも費用の負担が大きくなります。
痛みは一切ありませんか?
患者様によって痛みの程度は異なるため、「一切ない」とは断言できません。
なお、患者様の体格に応じて麻酔の量をコントロールしたり、局所麻酔薬を併用したり、術後は内服鎮痛剤を使用することで、なるべく痛みが生じない手術となるように努めております。
一人一人に合わせたオーダーメイド医療を提案します
当院は、患者様一人一人に合わせた鼠経ヘルニアの日帰り手術を行っています。
当院では、鼠径ヘルニア手術の経験が豊富な外科専門医・消化器外科専門医・内視鏡外科技術認定医と麻酔専門医が、患者様それぞれに合わせた形で、なるべく負担をかけないように最大限努めております。
お困りの症状があれば、なるべく早めにご相談ください。
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