鼠径ヘルニアの手術は日帰りで行えることがほとんどです。入院によって長期間仕事を休んで頂くことはありません。
一方で、患者様より以下のように術後の日常生活に不安があるとご相談頂くことも多いです。
「痛みが長引いたり、再発したりするリスクはある?」
「術後の体調に不安がある。リハビリをしないといけない?」
「ジョギングやゴルフはいつから再開できる?」
手術前に看護師や担当医へ詳しくご質問頂いて結構です。
下記に、術後の痛みや運動についてよくある質問と回答を記載しておりますので、ご参照ください。
鼠径ヘルニア(脱腸)の手術は日帰りで行うことができます
鼠径ヘルニアは、日帰り手術で完治できることがほとんどです。入院すると経済的・時間的負担が大きくなります。一方で、日帰り手術では、傷が最小限で済み麻酔の影響も少ないため、当日中にご帰宅が可能です。日常生活へも早期に戻ることができます。
鼠径ヘルニアの手術後の運動再開の時期とは
術後に痛みが無い場合は、翌日から散歩などの軽めの運動をしても構いません。なお、激しい運動は避けてください。
激しい運動は術後2週間ひかえる
腹部に負担がかかる激しい運動は、2週間ほど避けてください。再発を防ぐために用いるメッシュが体内でしっかり固定されるまでに2週間ほど必要ですので、固定される前に重いものを持ち上げたり、激しい運動をしたりすると再発しやすくなります。また、性行為も同じく2週間ほどは避けてください。
手術後、7日目に術後診察を受けましょう
術後の経過観察が重要です。術後診察は術後7日目に対面診察で実施します。創部の状態、合併症の有無を確認します。今後は、遠方にお住まいの方やご多忙で来院が困難な方に対してオンライン診療の導入を検討しております。
入浴・シャワーや飲酒について
入浴や飲酒によって血流が促され、内出血や痛みが生じやすくなるため、手術当日は控えてください。なお、シャワー浴は手術当日からでも問題ありません。また、傷口は防水シートで保護していますので、水は入りませんが、2日目からはシートをはがして石鹼で洗っても構いません。
鼠経ヘルニア(脱腸)の手術後によくある質問
全身麻酔によって痛みを制御することも大切です。
麻酔の量が少なくても手術中に目が覚めてしまう可能性があり、一方で過剰に使うと患者様の身体への負担が大きいため、麻酔の管理は高度な技術を要します。
当院では、麻酔科専門医が麻酔薬の種類や量を決めますので、ご安心頂ければと思います。
鼠径ヘルニアの日帰り手術では、患者様の身体になるべく負担をかけないよう細心の注意を払っています。下記では術後の痛みや運動についてよくある質問と回答を記載しておりますので、ご参照ください。
術後の痛みと抜糸について教えてください。
突っ張った感じや痛みが起こる方、痛みがほとんどなくいつも通り仕事に行ける方など、術後の痛みの程度は人によって異なります。家事やデスクワークについては翌日からいつも通り行えることがほとんどです。頓服の鎮痛剤を服用するくらい痛みが強い場合でも、3日程度で痛みは解消します。なお、若い男性に強い痛みが起こりやすいという特徴があります。
消毒は必要ありません。また、皮下縫合のため抜糸も必要ありません。手術当日からシャワー浴が可能で、翌日からは浴槽に浸かることもできます。
再発するリスクはありますか?
昨今、術後に同じ場所で再発するリスクは大きく減少しており、具体的には、筋膜を縫合する方法で10%、当院で行うメッシュで補強する方法では1%以下となっています。なお、再発するケースでは、術後1~2年経ってから起こることが多いと言われています。一度鼠径ヘルニアを発症すると、10%以上の方は逆側の足でも発症しますが、これは再発には該当しません。
筋力トレーニングなどで再発を防げますか?
腹筋などの筋力トレーニングをしても、再発を防ぐことはできません。腹部に負担がかかると鼠径ヘルニアが生じやすいため、立ち続ける作業や重いものを持つ作業をなるべく控えましょう。また、肥満の方はダイエットしましょう。さらに、前立腺肥大、便秘症、咳などによっても腹部に力が入るため、ヘルニアに繋がる可能性があります。
手術後、しこりができることはあるのでしょうか?
術後2週間ほど経って、鼠径ヘルニアの患部に体液が蓄積し、しこりが生じることがあります。このように、こぶやしこりが生じた状態を漿液腫(しょうえきしゅ)と言います。しこりができるため、「鼠径ヘルニアが完治していないのでは?」と誤解される方もいらっしゃいますが、1ヶ月ほどで体内に吸収されて自然に消滅することが多いです。受診頂ければヘルニアの再発か確認することが可能ですので、お気軽にご相談ください。
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