鼠径ヘルニアは、自分で治すことができるのか?
鼠径ヘルニアは、筋肉と筋肉の間の組織である筋膜が弛緩して穴ができ、その穴から腹膜に覆われた腸が飛び出すことで起こる病気です。腸が飛び出すことで、腹部に膨らみが見られるようになります。筋膜は筋肉とは違って強化できないため、腹筋などのトレーニングでは鼠径ヘルニアの症状を解消できません。また、自分で押し込んで症状が治まっても、腹部の穴は閉じないため、完治はしません。鼠径ヘルニアを放っておくと、腹部の内圧が穴に大きくかかり、穴が次第に大きくなってさらに臓器が飛び出すリスクが上がります。
民間療法やヘルニアバンドで鼠径ヘルニアの膨らみを締め付けても、腹部の穴自体を閉じることにはなりません。このような間違った治療法によって腸で嵌頓が起こり、命を脅かす恐れもあります。
鼠径ヘルニアの症状と検査
鼠径ヘルニアは身体診察で診断することが一般的です。
鼠径ヘルニアの典型的な症状は、重いものを持ち上げるなど腹部に力を入れる時に起こる足の付け根(鼠径部)の膨らみです。横になった状態などで腹部の力が抜けると、膨らみは無くなります。
このような症状が起こる病気は、鼠径ヘルニアのみです。したがって、身体診察だけでも鼠径ヘルニアの大まかな診断ができます。診断が困難な場合はエコー検査やCT検査が必要になることもあります。
鼠径ヘルニアは、内鼠径ヘルニア、外鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアといったタイプに分けられます。
それぞれ解剖学的に多少の違いがあるため、身体診察だけでは正しい診断が困難なケースもありますが、腹腔鏡下ヘルニア修復術で行う手術内容は変わりません。手術時に腹腔内からヘルニアの正確な位置を観察し最終診断となります。
鼠径ヘルニアは早期発見・治療が重要です
鼠径ヘルニアはご自身で治療することが困難な疾患で、治すには手術が必要です。
手術に対して不安を感じて、治療を受けずに放っておく方も多くいらっしゃいます。しかし、鼠径ヘルニアを放っておくと、命に関わる嵌頓が生じる恐れがあります。
嵌頓は「嵌まり込む」という意味であり、鼠径ヘルニアでは、鼠径部にできた筋膜の穴に腸などの臓器が嵌まり込み、元に戻らなくなる状態のことを言います。嵌頓が生じると、腸壊死や腸閉塞、腹膜炎などの深刻な状態に繋がる恐れがあります。
リスクの高い嵌頓になることを防止するため、鼠径ヘルニアの症状が起こっていれば、専門医を受診して、適切な診療を受けることが大切です。
鼠径ヘルニアは当院へご相談ください
当院では、腹腔鏡(内視鏡)による鼠径ヘルニアの日帰り手術に対応しています。
手術は基本日曜日、月曜日、(祝祭日)に対応しておりますが、術前診察は火曜日から土曜日に行っております。
鼠径部の痛み、膨らみなどの症状でお困りの方は、鼠径ヘルニアの疑いがありますので、なるべく早めに当院までご相談ください。
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