鼠径ヘルニアの痛みはどのようなものですか
下腹部がキューっとする、あるいはひきつったような痛みが多いです。
鼠径ヘルニア(脱腸)の発症初期は、下腹部が差し込むような軽度の痛みや、ひきつるような感覚が起こります。軽症であれば違和感程度で痛みが生じない場合もありますが、悪化すると痛みが生じることもあります。この痛みは、鼠径ヘルニアの膨らみに腸が嵌ることで生じます。
悪化すると強い痛みが生じ、鼠径ヘルニアの部分が突然硬化し、手で押し戻そうとしても戻らない場合があります。これは嵌頓という状態で、嵌った腸が戻らなくなり、血流が低下する恐れがあります。
鼠径ヘルニアは、痛みが生じていなくても放っておくことで重症化する恐れがありますが、痛みを感じるようになったら早急に専門医へご相談ください。嵌頓状態になると緊急手術を要し、日帰り手術では治療が難しい場合もあります。
鼠径ヘルニアとは
鼠径ヘルニアとは、太腿の付け根(鼠経部)の筋膜に穴が開き、鼠径部が膨らみ、腸などの臓器が外に出る疾患のことです。
小児が発症しやすいですが、成人(特に40代以上の男性)にもよく見られます。
鼠径部に発生するピンポン玉のような膨らみがよくある症状です。この膨らみは、腹部に力が加わる時や、立っている時に巨大化し、力を抜くか仰向けに寝ると無くなります。
放っておくと次第に膨らみが巨大化し、臓器がさらに飛び出しやすくなります。
鼠径ヘルニアが進行するにつれて、鼠径部の痛みや違和感が生じる場合があります。
さらに悪化すると、排尿障害や便秘に繋がる場合もあります。
鼠径ヘルニアを治すには手術が不可欠です。ヘルニアバンドで穴を塞ぐことで一時的には対応できますが、常日頃から穴を塞ぐことは現実的ではありませんし、嵌頓リスクがあるためお勧めしません。
気になる症状は、早めにご相談ください
太腿の付け根や下腹部に多少の膨らみがある、長時間立ちっぱなしだと下腹部に違和感が生じる、腹部に力を入れると痛むなどの症状があれば、鼠径ヘルニアの恐れがあります。
鼠径ヘルニアを治すためには手術が必要です。
昨今は、シートの人工補強材(メッシュシート)を用いて腸の脱出を防止するために腹壁を補強する方法が一般的です。手術法は鼠径部切開法と腹腔鏡下手術があり、患者様の状態に応じて適した手術が選択されます。どちらも日帰り手術が可能です。腹腔鏡が選択可能な場合は、患者様への負担の少なさや手術の確実性、再発率の低さからすると腹腔鏡手術のメリットは大きいと考えられ、当院では日帰りでの腹腔鏡下手術を施行しております。
鼠径ヘルニアが重症化する前に、専門医に相談して適切な治療を受けましょう。
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