太ももの付け根のでっぱりの正体とは?
太腿の付け根に丸いコブのような膨らみや出っ張りができた場合、鼠径ヘルニアの疑いがあります。鼠径ヘルニアは、通称「脱腸」とも言われ、鼠径部の筋膜が衰退し、腹部の内側の腸が飛び出す疾患です。膨らみのサイズは様々で小さいものだと2㎝程度、男性の場合は巨大化すると陰嚢に入り込み、直径が10cmを超える場合もあります。
なお、鼠径部に生じたしこりが鼠径ヘルニア以外の場合もあります。直径1㎝以下のコリコリした感触のしこりであれば、粉瘤などの皮膚のできものやリンパ節の腫れなどの可能性もあります。
鼠径ヘルニアの特徴
鼠径ヘルニアでは、立った状態で膨らみがあり、仰向けに寝ると消える傾向にあります。このような状態であれば、確実に鼠径ヘルニアです。
また、鼠径ヘルニアは太腿の付け根に膨らみがあるのみで、ほとんどの方には激しい痛みが生じず、不快感や違和感が起こるくらいです。
痛みや違和感が無い場合は放っておいても問題ないと言われることもありますが、これは間違いです。
実際は、成人の鼠径ヘルニアは手術を受けないと自然治癒しません。
鼠径ヘルニアは筋膜が衰退する疾患で、衰退した場所から腸が飛び出して、加齢によって衰退した場所は拡大します。
横になった状態で押し込んでも戻らない「嵌頓」の状態になると、緊急手術を要します。
鼠径ヘルニアの治療法
鼠径ヘルニアの治療には手術が必要であり、ベルトやお薬では治療できません。 鼠径ヘルニア手術では、衰退した筋膜にメッシュという合成繊維のパッチを当てることで、腸の飛び出しを防止します。 長い間放っておいた巨大な鼠径ヘルニアや前立腺手術などの手術の既往、コントロールの悪い併存疾患がない限り、日帰りで手術ができます。 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術は、術後当日から日常生活やシャワー浴が可能です。お仕事は腹部に力をいれないデスクワークであれば翌日から可能です。術後2週間程度で腹部に力を入れても問題ない状態になります。 手術を受ければ腸が飛び出す不快感が消え、運動やお仕事への支障もなくなります。
疑わしい症状がある方は当院へご相談ください
鼠径ヘルニアは、腸が飛び出す穴が巨大化すると膨らみも巨大化し、違和感や痛みなどが起こる場合があります。また、頻繁に腸が飛び出すと、腸の働きが低下して便秘になる方も多くいらっしゃいます。さらに、外に出た臓器が元に戻らずに穴に嵌まってしまうと、臓器が圧迫されて血流が低下し、最悪のケースでは飛び出した腸やその周囲を覆う皮下脂肪や脂肪組織、筋肉などが壊死する恐れがあります。この状態は嵌頓と呼ばれ、緊急手術を要するため、当院ではベストなタイミングで手術をご案内いたします。
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